事業譲渡を行い従業員の就労先を確保した上、会社の破産申立てを行ったケース

依頼者

株式会社(専門商社)

相談前

先代社長が投資の失敗により残した負債が大きく、金利の負担によって利益が上がらず、資金繰りに行き詰まり、資金ショートによる不渡りが避けられない状態となっていました。
ただ、本業では優良な商権があり、借金さえ整理して金利負担がなくなれば、事業が継続でき、利益を出すこともできる状況でした。

相談後

同業他社に事業譲渡を行い、商権を移し、従業員もそちらに移籍してもらいました。 事業譲渡の譲渡価格は、公認会計士に適正価格を算定してもらいました。 その上で、譲渡会社については破産申し立てを行いました。 破産手続きも、スムーズに終了しました。

弁護士のコメント

本業自体が利益を上げられない状態になっているのであれば、事業そのものを終了させざるを得ませんが、
本業は順調なのに、過去の何らかの原因でできてしまった負債の金利負担のために経常利益が上がらず、資金繰りに行き詰る、というケースであれば、その負債を事業から切り離すことができれば、事業の継続は可能です。
そのような場合、本業を他社に営業譲渡した上で破産手続きをとることによって、事業を継続させ従業員の雇用は確保した上で、負債については法的に処理することができます。
ただ、その場合、営業譲渡の譲渡価格は、第三者に対して説明のつく価格にしておかなければ、後に破産手続きをとった場合に、破産管財人からクレームがつき、
最悪の場合、破産管財人によって営業譲渡契約が否認され、取り消されてしまいます。
このケースでは、公認会計士によって営業譲渡の適正価格を算定してもらった上で、その価格で営業譲渡行ったため、破産管財人からクレームがつくことはありませんでした。