代表取締役社長である兄が、弟を一方的に取締役から解任した事案で、弟が任期満了までの報酬相当額を和解金として取得したケース

依頼者

60代 男性

相談前

ある会社で、創業者が亡くなった後、創業者の長男が社長、次男が専務となって会社経営を引き継ぎました。
当初は兄弟仲に問題はなく、次男は、長男を立て、株式のほとんどを長男が相続する遺産分割協議に同意していました。
その後10年以上が経過し、会社の経営方針を巡って、長男と次男は対立するようになりました。
そして、長男は次男に対し一方的に、「クビだ!会社に来るな!」と宣告し、役員報酬を払わなくなりました。
当職は、次男から、どうしたらいいかとの相談を受けました。

相談後

当職は、会社に対して、任期満了までの役員報酬を請求する訴訟を提起しました。
結局、こちらの主張の大部分を認める形で、和解が成立し、支払いも受けました。

弁護士からのコメント

会社法上、取締役を解任するには株主総会の決議が必要であり、代表取締役社長といえども、その一存で他の取締役を解任することはできません。
また、株主総会で取締役を解任しても、解任に正当な理由がなければ、解任によって被った損害を、会社は取締役に賠償する必要があります。
このケースでは、長男は、完全に「俺の会社のことは俺が全部決める」という意識を持っており、会社法の規定も何も一切知らない様子でした。
また、この会社では、おそらく創業以来、株主総会は一度もまともに開催されていませんでした。
こちらから訴えを提起されてから慌てて株主総会を開催して次男の解任決議をしましたが、解任の正当事由がないので、会社は損害賠償相当額の支払いを免れませんでした。